第20章 「愛らしい小娘」/明智光秀
「光秀、舞の身体が元に戻るまでそやつの傍に居ろ。
その姿でも仕事をしかねんしな。監視しておけ」
「承知致しました」
恭しく座ったまま頭を下げた光秀さんが、
私の身体を持ち上げ、
また今朝と同じように膝の上へと乗せる。
「政宗、あまり俺の連れ合いをいじめるな」
「何言ってんだ、お前の方がいじめてるだろ?」
「舞を苛めていいのは俺だけなんでな」
「フッ、なるほど。これは失礼」
二人が私としては不穏な会話をしている為に、
私はその様子をハラハラしながら見つめていると、
「とりあえず、俺は原因を調べてみます」
「ああ、頼んだぞ。家康」
そう言って立ち上がった家康は、
去り際に「言われなくとも」と言って広間を去っていった。
「では、私も探してみましょう。
なるべく早く見つけられるよう努力致しますので、
舞様、今しばらくお待ちくださいね」
「ありがとう、三成くん」
「それでは」と言って、
三成くんは秀吉さんと共に広間を去っていった。
「さて、俺達も戻るとするか」
「はい」
私は光秀さんの膝から降りて自分で歩こうと思ったものの、
光秀さんが素早く抱えながら立ち上がり、
広間から光秀さんの自室へと歩き出したものだから、
驚きながらもそのまま身を預けた。