第20章 「愛らしい小娘」/明智光秀
過酷な密偵の任務を終えて、
久しぶりに帰ってきた光秀さんと共に夜を過ごしたその翌日。
「え……えっと」
目が覚めた私は、
自らの目線がいつもより少し低いことに気が付いて困惑していると、
隣で座っていた光秀さんも、
どうやら珍しく素で驚いたような顔をしている。
「お前……縮んだか?」
「縮みました、ね」
なんともぎごちない空気の中、
明らかに成人より前の姿になっていた私を、
光秀さんがそっと抱き抱え膝の上に乗せた。
「光秀さん?」
普段でも見上げなければ見えない顔を、
いつも以上に見上げてみれば、
いつもより優しい顔をしているような気がする。
「このように小さくなるとはな。
何か変なものでも食べたか?」
「いいえ、何も……」
じっと見つめていると、
光秀さんは私の鼻梁(びりょう)にそっと口付けを送った。
「あ、あの……っ!」
「とりあえず、着替えて信長様に報告しなければな」
膝に乗せていた私をそっと褥の上に戻した光秀さんは、
そそくさと寝巻きを脱ぎ、
いつもの普段着へと着替えた。
私はというと、
小さな子向けの着物を試作で以前作っていたものがあったので、
それに着替えることにした。