第17章 「桜の季節」/上杉謙信
越後にも春が訪れ、
桜の木がある箇所にはたくさんの人が花見に訪れている。
桜はいつの時代もこの国で生きる者たちにとっての憩いの場であり、
春の象徴のようなものだ。
謙信様はこうして桜を見ることはあまりしなかったと聞いた。
やっぱり伊勢姫のことで自然と避けるようになってしまったのか、
そういったことは私の憶測でしかなく、
本当の意思は謙信様にしか分からないものだ。
でも佐助くんが来てからは、
この時期になると花見をすることにしたらしい。
きっと佐助くんの器量の良さかななんて思いながら、
佐助くん達としては五回目の、
私としては初めての花見の日がやってきた。