第16章 「永遠の愛」/織田信長
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──それから少し経って、
ようやく落ち着いた私は信長様の話を聞くことにした。
どうやら私とは違い信長様は、
五百年の間に何度も転生を繰り返したらしい。
その間に私を探していたとも。
何度目か分からない転生でようやく逢えたんだそう。
そして驚きの事実がまた判明した。
「えっ!?社長は秀吉さんだったんですかっ!」
そう、
つまり自分の務めている会社の社長が、
安土城で暮らしていたときにいつもお世話になっていた秀吉さんだったということだ。
「あぁ。
新人として貴様が秀吉の会社に来たとあやつから聞いてな。
今回の会食は貴様に会うための口実だ」
まさかの自分に会うためだけに開いた会食だったなんて……。
私は驚きで言葉も出ない。
「(そうか、
だから秀吉さんは気にかけてくれてたんだ……)」
自分が務める会社の社長が、
何故か必要以上に気にかけていたのはそういう事だったんだと理解することができた。
今までずっと胸の内に巣食っていたモヤモヤがこうして解消されたのはとても嬉しい。
ちなみに秀吉さんの会社や信長様の会社がとてつもなく有名なのは、
武将の生まれ変わりがその代表を務めているという認識があるかららしい。
そしてどうやら秀吉さんのこの会社は、
既に信長様の下にある会社なのだそうで、
今回の会食は本当に開いただけなんだそう。
世間では信長様が、
自らの妻を探しているということは周知済みだったようで、
自分がどれだけ世間知らずだったのかが分かった。
「舞」
「はい、信長様」
「今世も決して離れるな」
「もちろんです、信長様」
また涙で息が詰まりそうになりながら、
月夜の下で私は愛しい人に向けて幸せな笑みを浮かべた。
【the end】