第2章 「鈍感なあの子」伊達政宗
だけど、今ここで自分の素直な気持ちに気付いても、
私がここに居られる時間は残り一カ月だ。
気持ちを伝えてもきっと別れる時に辛いだけ。
───でも。
気付いてしまったら、
政宗の気持ちを知ってしまったら、
もうこの封じていた感情が抑えられなくて……。
「あの、あのね政宗」
「なんだ?」
長い間考えていたと思うのに、
政宗はずっと私が答えを導き出すまで待ってくれていた。
この当たり前のように待ってくれる、
それでさえ私は愛おしいと思ってしまった。
「きっと…ううん、政宗のこと好きだよ」
ハッキリと今まで封じてきたその感情(想い)を、
目の前で聞いていた政宗に伝えた。
すると、ギュッと体ごと抱き締められて、
「やっと気付いたか、この鈍感娘」と言われて、
「ご、ごめん…。」と謝れば、
フッといつもの意地悪な笑顔を浮かべて、
「たくさん待ったんだ、もう喰っちまっても良いよな?」
【the end】