• テキストサイズ

イケメン戦国 《短編集》

第15章 「その迷いを教えて」/織田信長


「信長様、ただいま帰りました」

スっと襖の開く音と同時に耳に残る愛おしい声が聞こえてくる。

「ああ。……さて、舞?」
「はっ、はい?」

何やら俺がいつも違うのだと分かり、
どこか緊張した面持ちで素直に返答する。

「貴様、
先日から変な男に付け狙われているそうだな?」
「!?」

ビクッと肩が動いたことで、
これは図星であるということがよく分かった。
相変わらず嘘はつけないようだ。

「……何故黙っていた?」

不思議と怒りが湧いて、
自分でも驚くほど声が低くなったのが分かる。

「それは……信長様は忙しい方ですから、
要らぬ心配をかけたくなかったんです」

少ししょげた顔をしながら、
正直に自白した舞に、
胸の内に密かに溜まっていた怒りが薄くなっていく。

「いつも言っておろう。
貴様が何よりも大切だと。
仕事なんぞ後に回しても何の支障もない」

ふぅ……とため息を吐いて、
目の前にちょこんと座っている小さな体を抱き締める。

「……正直に言え、
知らぬ男に付きまとわれてどう思った?」
「怖かった……です」

ギュッと俺の服を掴んで縋る様に体を埋めてきた。
本当はそれほどまでに怖かったのだろう。
縋りたいほどに不安でいっぱいだったのだとその仕草が表している。

「舞、よく言った。
だが次同じようなことをすれば許さんぞ」
「っ、はい」

その不安を掻き消すように、
自分の胸に寄りかかっている舞の頭を優しく撫でながら、
そやつをどうしてやろうかとまた次の計画を立てていくのだった。


【the end】
/ 78ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp