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イケメン戦国 《短編集》

第15章 「その迷いを教えて」/織田信長


安土城から秀吉の建てた城へと移り住んで早一月が経とうとしていた。
歴史の歪みにより、
原因不明の病と診断されていた舞の体調も、
以前のように倒れるようなことは起こらなくなり、
以前からしている針子の仕事をしつつ、
異国船との貿易に着いてきたりと充実した日々を過ごせている。

「舞、どうした?」

天主にて夜が耽ける前に部屋に戻っていた舞の顔が、
いつもより暗い気がして、
俺は何か悩んでいるのだろうかと声を掛ける。

「え、いえ。なんでもないんです」

笑顔で取り繕おうとしているものの、
その顔が俺の見たかった輝かしい笑顔とは程遠いものだとすぐに分かった。

だがこの顔は何が何でも、
言おうとはしないのだと共に過ごしていて理解した部分でもある。

「(また何か余計な気遣いをしてるようだな……)」

気遣いなど無用だといつも言っているのに、
いつまで経っても舞は一向に口を割ろうとしない。
何度言ってもブレはしないところは、
こやつの良いところだと思ってはいるものの、
こういった場合では良くないところだと思うしかない。

「(こやつは、
佐助には相談しておるかもしれんな……)」

唯一同じ五百年後から来たという忍び。
俺や秀吉達とは違う意味で、
舞が信頼を置いている人物だ。

佐助が時折この城に忍び込み、
舞と雑談をしているのは知っているので、
少し天井裏に仕掛けでも施すか……と思考しながら、
同じ褥に入り、
いつの間にか眠ってしまった舞の寝顔を見ながら、
そう考えるのだった。


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