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イケメン戦国 《短編集》

第12章 「唯一敵わない人」/織田信長


今までは怒涛な日常だったからか、
ずっと気を抜けなかった。
信長様に振り回される毎日だったからとも言えるだろうけど……。

恋仲になってからは、
信長様は相変わらず虐めてくることはあっても、
無理強いをしくことはなくなった。
そして戦場へ連れて行くことも。

それからは信長様が無事に帰ってくるか、
という不安はあったが、
気を抜けない気張った状態ではなくなったからなのだろう。
今になって今までの無理の反動が来たんだと思う。

うとうととし始めていると、
「入るよ」という家康の声が聞こえて静かに襖が開かれた。

「あ、家康」

私の枕元まで来た家康はそっと私の額に手を乗せる。

「熱、あるね。熱いよ」
「え、そうなの?」
「アンタね……相変わらず自己管理がなってないね」

うっ……と家康の言葉に唸っていると、
家康が持ってきていた御膳には、
水が入った湯呑みと水差しと薬が置いてあった。

「ほら、飲んで」

家康に手渡された薬を飲み水を喉へと滑らせる。
相変わらずこの時代の薬は苦いな……と、
眉を潜ませながらもしっかりと飲み干した。

「じゃ、ちゃんと休んでなよ」
「うん、ありがとう」

家康は立ち上がって、
信長様と入れ替わるように天主から出ていった。

「どうだ?」
「熱があるって言ってました」
「自分で気付いてなかったのか……」

ちょっと飽きられた目線を向けられたが、
すぐにその眼差しは消え、
ぽんぽんとお腹辺りをまるであやす様に叩かれた。

「ゆっくり休め」
「………はい」

信長様の温かさと優しさが身に染みてきて、
段々と眠気が増してきた。
いつの間にか私は眠っていたようだった。


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