第9章 「星空の下で愛らしい誓い言」/豊臣秀吉《BD小説》
「ねえ、秀吉さん」
「ん?どうした?」
「どうして信長様たちは、
兄代わりになるって言ってきたのかな…?」
正直に聞いてみると、
秀吉さんがはぁと深くため息をついた。
「気付いてないんだな」
「え……?」
少し呆れながらも苦笑いをしながら、
秀吉さんは私にこう告げた。
「信長様たちはお前を気に入ってるんだよ。
現に政宗は隙あらばお前に近付いてくるだろう?」
「え?あれは単なるスキンシップじゃないの?」
「すきん…??」
ついつい癖なのかどうか分からないけれど、
現代での口調が出てしまったために秀吉さんを混乱させてしまった。
「遊びじゃないの?」
「違うぞ。政宗は本気で狙ってるんだからな」
私の頭を優しく撫でる秀吉さんの口調はちょっと怒ってるような気がした。
「えっと…なんか、怒らせた?」
「いいや、怒ってなんかないぞ」
秀吉さんが怒っているのかどうか気になって、
後ろを振り返り顔を覗き込んでみると優しく笑っていた。
「早く同居をしたいな……」
「それには信長様たちを納得させなきゃだね」
「あぁ。
まさか、信長様までああ仰るとは思わなかったが」
秀吉さんが困った顔をしている。
確かに信長様のお気に入りとして、
安土城に住むことにはなったけど、
そんなに気に入られてはないと私は思っていた。
「まぁ、頑張るさ。お前と一緒にいれるようにな」
「うん……。ねえ、秀吉さん」
「なんだ?」
私はずっとずっと思っていたことを告げてみる。
「ずっと…傍にいてね?」
「…当たり前だ。
離れたいって言われてももう無理だからな」
「うん。私、離れるつもりないもん」
そう言って秀吉さんの瞳を見つめていると、
「またそんな可愛いこといって…」と、
小さな声で呟いていたのが聞こえた。