第9章 「星空の下で愛らしい誓い言」/豊臣秀吉《BD小説》
「今からっ?!もうこんな時間なんだぞ?」
秀吉さんは案の定慌てふためいていて。
私はクスッと笑いながら、
「そうだね。だけど、いい気分転換になるでしょ?」
「けどな……」
秀吉さんは眉をひそめて困った顔をしている。
「秀吉さんが行きたくないなら、
私は勝手に一人で見に行ってくるよ」
「待てっ!駄目だ、一人でなんて!!」
私は閉めていた襖を開け、
部屋を出ようとしたら秀吉さんに止められてしまった。
「……分かった。行こう」
「ふふ、じゃあさっそく行こう?」
秀吉さんにそう問いかけると、
「あぁ」と返事してくれたので、
私は一緒にいられるのが嬉しくなって、
自分でもわかるくらい上機嫌だった。
秀吉さんの御殿からしばらく歩いて、
広い草原までやってきた。
やはり少し肌寒くはあったが、
それでも空に浮かぶ満天の星空の方がよっぽど目を引くものがあった。
「綺麗……」
私はボソッとつぶやいた。
やっぱり宇宙は……世界は不思議だなと思えてしまう。
この時代よりも宇宙について分かったことが多くあるとはいえ、
それでも分からない未知の世界は本当に不思議に思えてしまう。
「そうだな。……寒くないか?」
「うん、大丈夫」
秀吉さんは私の肩を寄せて抱きしめてくれる。
その温かさのおかげで私は寒くはなかった。
「そういえば、なんで急に星を見に?」
「秀吉さん、ずっと仕事で安土城にいたでしょ?
たまにはこうやって外に出なきゃ」