第7章 「何度も」明智光秀
今日はあの女の子は珍しい人と一緒にいた。
明智光秀様──。裏切り狐と呼ばれている方だが、
信長様の右腕と言われている方でもあるのだ。
あの子はいつものように楽しそうに笑顔で話しかけている。
一体どうしてあのように武将様と共にいることが多いのだろうかと考えてしまった。
あの子は俺と同じ町娘ではないのだろうか?
店の真ん前にある茶屋で二人してお茶をして、
楽しそうに話し込んでいるようだ。
あのような幸せそうな顔を俺は見たことがなくて、
少し妬いてしまった。
すると光秀様がこちらを睨むように見つめてきた。
流石武将と思わざるを得ない程の殺気。
俺は怖くなって逃げるように店に戻った。