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イケメン戦国 《短編集》

第7章 「何度も」明智光秀


幸翔さんの反物屋から光秀さんの御殿に帰り、
私はすぐさま信長様の着物を縫い始めた。

光秀さんは裏方の仕事をすることが多いから、
あまり安土にいることはなくて、
悲しいといえば哀しいけど、
それを言って仕事の邪魔をしたくなかったから、
それを光秀さんにいうことはしなかった。

だけど秀吉さん曰く、
私が来てから安土にいることが多くなっているらしい。
私はここに来る前のことは知らないけど
秀吉さんがそういうのだからそうなのだろう。

没頭しているといつの間にか日が暮れていた。

「(もう日が暮れてる……)」

フゥーと深くため息を吐いて、
信長様への着物を作り終えたので、
針と糸を収納箱に直して部屋の灯りをつけた。

「(今日も、光秀さんは帰ってきてないんだな…。)」

少し寂しいと思ってしまったけど、
思考を振り切るために首を横にブンブンと振って、
考えるのをやめることにした。

「何を一人で百面相をしている?」

不意に聞き覚えのある低い声が背後から聞こえた。

「み、光秀さんっ?!」

驚いて振り返ってみると壁にもたれ掛け、
ニヤニヤと笑いながらこちらを見ている光秀さんがいた。

「お、お帰りなさい……」

そのまま私に近付いてきてギュッと抱きしめ、
「あぁ、ただいま」
と優しい表情を浮かべそう言ってくれた。

「お仕事まだあるんじゃないですか?」
「いや、一通り信長様から頂いた仕事は終わらせた」
「では、明日はお休みですかっ!?」

私は久々に光秀さんと一日中過ごせると分かって、
嬉しくなってきた。

「そうはしゃぐな」
「す、すみません……」

子供のようにはしゃいでしまって、
私は恥ずかしくなって顔を真っ赤にしながら顔を伏せてしまった。

「舞、顔を上げろ」
「うぅぅぅ……恥ずかしいからやです」

光秀さんに顔を上げろと言われたが、
私は恥ずかしすぎて顔を上げられなかった。

「何故恥ずかしがっている?可愛らしかったが?」
とまで言われてしまったので、
「余計にあげれないです…!!」と言うしかなかった。


それからも光秀さんに意地悪をされて今日を過ごした。


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