第1章 越前リョーマ
美咲side
「リョーマくん」
「遅いっすよ、先輩」
生意気な態度をとる彼は年下の越前リョーマくん。
青学テニス部の期待のエースだ。
抜群の運動センスを持っていて、すぐにスタメンに入れそうなレベル。
…というか、絶対に入ると思う。
それに比べ私は、テニス部二年目にして先輩を倒すどころか同い年すらも倒せない。
悔しくてリョーマくんにテニスを教えてほしいと頼んだのだ。
ある条件と交換で
「先輩、テニスが先がいいっすか??」
「ん、リョーマくんはどっちがいい?」
「 じゃあ俺の方からで」
そう、彼の条件というのは
ディープキス一回につき30分というものだった。
その当時 彼氏がいた私は罪悪感があったが、ばれるかもしれないというスリルが堪らなく楽しかった。
この関係が好きで彼氏とも別れた。
そうしてかれこれ3ヶ月。
カッコいい彼に惚れてしまうわけで、意識しているせいか私は目を逸らしてしまう。
彼の美しい瞳を見ていると全て気付かれてしまいそうだから。
「反抗期すか? 先輩」
「そういう訳じゃないんだけ、、んっ」
うるさい と言わんばかりに唇を重ねる。
リョーマくんはちょっと強引なとこがあって、私がなんか言おうとするとキスで塞がれることもしばしば。…それが嬉しい、なんて私 リョーマくんに振り回されすぎ。
「あっ、、んっ、、ふ」
初めは優しいキスだったが噛みつくようなキスに変わっていく。
いつもはこんなにも荒々しくないのに。
唇の隙間から舌を入れられ、逃げようとしても絡めてくる。
その感覚だけで頭がおかしくなりそうだ。
「リョ、マくんっ、…今日、、なが、、んっ」
様子が可笑しかったので胸をぐいぐいと押す。
「先輩、、美咲先輩は俺のこと…嫌いですか」
え?
私はその言葉を聞いて目を丸くした。
むしろ好きです!なんて言える勇気も持ち合わせていない私は
「そんなことないよっ?」
とカタコトだけど否定をする。もしかして私がリョーマくんのこと好きってバレてる?
「じゃあ何で俺のこと避けてるんすか」
好きだから なんて言えなくて口ごもっていると
むす、としていた彼が口角を上げ楽しそうに
「言わないなら無理やり言わせてもいいっすよね??」