刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第10章 かくれんぼ
長谷部は急ぎ、木を登り始めた。
さすが刀剣男士といえるような無駄のない動きで、長谷部はひょいっと枝に手をかける。
これだとすぐ目的の枝までたどり着けそうだと思ったのも束の間…
木を登るときは当然長谷部の両手は枝を掴んでいて、私は自力で長谷部の背中にしがみついていなければならない。すると自然と長谷部の首に私の腕が回る…
その事に気が付いたときには後の祭りだった。
「ぐえっ!あ、あるじ…ぐ、ぐるし、、」
「え、ご、ごめん、でもこうしないと落ちるっ!どうしよう!」
「も、もう少、し…がはっ手、緩め、て…ふぐぅ!!」
慌てて足を長谷部の体に巻き付かせるもどうにもならず…その間にも長谷部はうめき声をあげている。なんとか首に回した腕を放してあげないと、と近くの木の枝に一生懸命手を伸ばすもののどうにも届かない!
「長谷部っ!落ちる!落ちるよぉ~」
ギャーギャーやってるうちに「主みーつけた!」と声が聞こえて、下を見下ろすと貞ちゃんがそこにいた。なんてこった…
もう見つかってしまったので、木に登る必要がなくなり長谷部は私をおぶさったまま華麗に飛び降りた。
そしてそっと私を地面に降ろす。