刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
……恋しい相手の痴態を思い出してしまい、不覚にももたげそうになる自身に舌打ちし、厚い雲で覆われている空を見上げた。
一度体を契ればこの欲は収まると、そう思っていたんだが…不思議なことに、あんたを知れば知るほど俺の欲は膨れ上がる。
もっとあんたが欲しい、触れたい、抱きたい、…そう思ってしまう。
知らぬ間に、こんなにもこのヒトの子に溺れている。
…
…
――バタバタ
いつも外で遊んでいる短刀達が雨だからか室内で走り回っている。隠れ鬼でもしているのだろう。
「おっしゃー!隠れても無駄だぞー!!」
「廊下を走るんじゃないと、何度言ったらわかるんだ!全く…雅じゃない」
「やべっ!逃げろ~鬼が来たぞー!」
…ギャー …キャー!!
「こらっ!静かにしなさいっ、主が寝ているんだっ」
小言を言っていた歌仙がこちらに目をやり、一瞬目を見開いたが、こちらの状況を理解し騒いでいる短刀に静かにするよう促すと、短刀達の声と足音が遠ざかって行った。
…
…
「は、主っ……くッ!!」
…今度は少し先の廊下で長谷部が悔しそうにこちらを凝視している。面倒なので無視して顔を背けた。