刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第33章 幸せな痛み
正直ここでやめるのは辛い。
だが、あんたが嫌がっているなら、怖がっているのなら俺は……
「あんたが嫌がることはしたくない…」
もっと気の効いたセリフを言えれば良かったのに、いつもの如く上手く口が回らない。そんな己を恨めしく思い、くそ、と心中で悪態をつき後悔してももう遅い。
彼女は驚いたように俺を見た。
きっと…今の俺は酷く情けない顔をしているんだろうな。
「嫌じゃない…お、おっきくて、怖くなっただけなの…ごめんなさいっ……だ、大丈夫だから、やめないで…」
か細い声だった。
無理をしているんじゃないのか
我慢をしているんじゃないのか
俺はこのままあんたを抱いてしまっていいのか?様々な疑問が俺の頭を過ったが、やめないでと言われた俺の理性は最早風前の灯だった。
――それに…あんたが欲しいと思うこの気持ちには到底抗えなかった。
「謝ることじゃない…それに…あんただけじゃない、俺も、同じだ…」
ぐっと唇を噛んでいる健気な姿に、少しでも安心させようと彼女の手を掴み、早鐘を打っている自身の胸に押し当てた。