刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第33章 幸せな痛み
そして引き寄せられ、甘い香りが鼻を掠める。
彼女が俺に口付けていた。
せっかく欲を抑え込んだというのに…
我慢がならず口付け、思いのまま貪った。
存分に味わい、懸命に呼吸を整えている彼女の唇を啄んでいると、山姥切の気配…やはり戻ったか。
山姥切が様子を伺っているが、構わず口付けを続けた。
「おい…取り込み中すまん…もういいか」
さすがに痺れを切らしたらしい…。
…
…
…
その後の妙に緊張している様子の彼女が堪らなく愛しい。
風呂に入り部屋に行き、彼女の姿を見た途端、今まで我慢をしていた分、抑えが効かなくなり抱き締め唇を重ねた。自分がここまで堪え性がないとは…
そのままベッドに押し倒し、その柔らかい唇を食んだ。そしてもう一度問う。
「本当に、いいんだな…」
断られたとしてももう止まってやれる自信がなかった。だがあんたは頷いた。そしてその真っ直ぐ俺を見つめる瞳は、情愛に溢れていた。
くそ…何故あんたはこんなにも俺の気持ちを掻き乱すんだ。優しくしてやりたいのに抑えられなくなる。