刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第32章 山姥切国広は見た!!
暑いな…
太陽が照りつける中、俺は畑仕事をしていた。
真夏と比べれば全然ましだが、こうもずっと外にいると流石に汗が滴り落ちてくる。
首からかけたタオルで汗を拭い、畑に生えた雑草をブチブチと抜きながら一息はいた。
「そんなに暑いならその布取ったらええんとちゃいます?」
「…」
隣で同じくやる気なさげに雑草を抜いている明石が俺に言う。朝からずっと雑草を抜いたり、畝を耕したりしているこの状況。それに働くのを嫌う明石は目を離すとすぐに木陰で寝っ転がるときた。
こんなに疲れるのはお前のせいでもある、心中でぶつぶつと文句を言いながら木陰に置いてある自分の水筒に手を伸ばした。
水を飲もうと口に含み傾げるも、この暑さで思いの外摂取してしまっていた水は少ししか残っていない。
「水筒が空になった。水を補充してくる。あんたのも汲んでくるか?」
「それは助かりますなぁ、えろうすんまへん」
明石の水筒を持つと、こちらも水がほとんど入っていないのが重みで分かった。
「すぐ、戻る」
「山姥切はんも、休憩がてらゆっくりしてきたらええですわ」
後ろから聞こえる言葉に不安を覚えつつも明石に畑仕事を任せ、足早に厨に向かった。