刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第31章 近侍 大倶利伽羅
そして文を見て「前田藤四郎からだ」と私の目の前に置いた。恥ずかしくてその場から逃げたかったけど、前田くんのお手紙を見て一気に緊張が走った。
手紙が来るということは無事ということ。
一通目の手紙の内容が内容だったので、中身を見るのが少し怖かったけど、修行先で頑張っていることが文面から分かり、ほっとした。
「どんな姿になって帰ってくるのかなぁ。楽しみだね…」
「…そうだな」
…
…
そして仕事も順調に終わり、夕餉を食べ、お風呂に入り、いつものようにベッドに入った。
その日は大倶利伽羅さんは近侍部屋で寝たみたいでこちらには来なかった。それが更に私の緊張を加速させ寝るどころではなくなった。
そして気付いたら朝方になっていた。
それからは、余り覚えていない。前田くんからの3通目の手紙がきて、その時ばかりは意識が逸れたのは覚えている。それ以外は決戦の時が近付いてくる、と時間ばかりが気になって仕方がなかった。
大倶利伽羅さんは悔しいくらいに普通だったけど。
そうこうしてる内に、出陣していた部隊が続々と帰還し、一気に慌ただしくなった。
そして目まぐるしく時間は過ぎていった。