刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第28章 お祝いの宴
「こら!包丁っ!なんてことを!…主、包丁が申し訳ございません!!」
「一期さんっ、いや、いいんですよ…」
「いち兄までなんで邪魔するんだよー!」
泣きながら手足をばたつかせて一期さんに連れて行かれそうになっている包丁くんを見ていたら、可哀想になってしまった。
「包丁くん、私人妻じゃないけど、それでもいいならこっちおいで?」
「え?人妻じゃないの?ちぇー!……でも主、温かくていい匂いで柔らかいから…俺それでもいいー!」
包丁くんはまた胸に勢いよく飛び込んできた。ドンッという衝撃で思わずう゛っと呻き声をあげてしまった。
「へへー」
「主、申し訳ございません…」
「いいですよ、これくらい」
「人妻じゃないなら、いち兄のお嫁さんになれるって事だよね!?そしたら本物の人妻になるよね?」
「え…」
「大倶利伽羅のお嫁さんにまだなってないんだよね?だったらいち兄にもチャンスはあるもんね!」
包丁くんの言葉にいつも落ち着き払っている一期さんが、珍しく顔を真っ赤にして慌てふためいていた。