刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第26章 瘴気
結局全然眠れずに朝を迎えてしまった私は、ボーッとしながら広間で朝餉を食べている。
隣の長谷部は、私のそんな様子に時折心配そうに声をかけてきた。些細な変化も見逃さないといった感じで、本当に優秀な近侍だと思う。
そこへ長谷部とは反対隣に鶴丸がやって来た。
「きみ…」
「あ、鶴丸おはよう…」
「昨晩はすまなかった!!」
「ごふっっ!」
「あ、あるじっ!!」
いきなり大きい声で謝ってきたので、飲んでいた味噌汁が気管に入りそうになり思い切りむせた。
長谷部がすかさず私の背中を擦りながら、鶴丸に鋭い視線を向けている。
「ゴホッ…っ、鶴丸いきなりどうしたの?長谷部、ごめんね、ありがとう、もう大丈夫」
なんとか呼吸を整え鶴丸の顔を見ると、彼の表情が少し沈んでいるように見えた…多分、昨夜の事を謝ってるんだと思うけど、いつも元気な鶴丸のそんな顔を見るのはなんだか胸が痛む。
「いきなりすまない。昨晩の事を光坊から聞いてな…悪酔いしてきみに絡んだと…きみと話していた事は途中までは何となく覚えてはいるんだが…」
「あぁ…、それならもういいよ…」
「光坊や伽羅坊に聞いても何も教えてくれん…もしや俺はきみに酷いことを言ったのか?何を言ったのか教えてくれ!」