刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第25章 真夜中の出来事
離れていく大倶利伽羅さんの背中をみていると、何とも言えない寂しさが込み上げてきて、彼が執務室から廊下に足を踏み出そうとした時に、咄嗟に後ろから抱きついてしまっていた。
酔っぱらっていたとはいえ、鶴丸にあんな事を言われてしまい、少なからず不安になっていたからかも知れない。
「…っ」
大倶利伽羅さんの息を呑む音が聞こえ、身体が硬直しているような、そんな気がしたけど力一杯抱き締めて、逞しい背中に顔を擦り付けて目を瞑った。
久しぶりの大倶利伽羅さんの匂いと温もり。すーっと息を吸ってその匂いを肺一杯に取り込んだ。
大倶利伽羅さんの匂いが好き…
大倶利伽羅さんが好き…
彼の全部が好き…
「……どうした」
「ちょっとだけこのまま…いいかな…」
「…構わない、が」
大倶利伽羅さんが何か言いたげだ…。
少し間が空いた後大倶利伽羅さんは、彼のウエスト辺りで交差している私の腕を掴んで体から離した。
抱き締めていた腕をほどかれてしまい、拒否られたような気がしてショックを隠せないでいると
「後ろからだと、俺があんたを抱き締められないだろう…」
そう言って大倶利伽羅さんは私の方を振り返った後、後ろ手に執務室の襖を閉めた。