刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第23章 バレンタインデー
照れ隠しの舌打ちだと分かってしまったので、しつこくツンツンしてるとバクッとフォークに食らいつかれた。
嬉しくなってその後も大倶利伽羅さんのお口の前に差し出すと、溜め息を吐いて「…好きにしろ」と言い、観念したのか口を開けてくれる。その様子が可愛くて堪らなくて、何度も彼の口に運んだ。
「あんたはもう食べないのか」
ケーキが残り少しになったところで大倶利伽羅さんが聞いてきた。
「これ以上食べたらご飯が食べられなくなっちゃいます」
「そうか」
残りのケーキを大倶利伽羅さんが全部食べてくれて、二人でゆっくり紅茶を飲んだ。
それから出陣の報告として簡素な報告書を受け取り、それについての説明を聞いたり、他愛もない話をしながら少しまったりした時間を過ごしていたら、なんとなく甘い空気が漂い始める…
大倶利伽羅さんと視線が絡み、ドキッと心臓が脈打った途端に恥ずかしくなってしまい、その場の空気に耐えられず、「紅茶のおかわり取ってきますっ」と言い立ち上がった瞬間…
私の手首を褐色の手が素早く掴んだ。そのままぐいっと引っ張られ、あっという間に大倶利伽羅さんの胡坐をかいている足の間に、横抱きにされた状態ですっぽりと収まってしまっている。
「~~っ!」
突然の事に死ぬほど驚き、声にならない悲鳴をあげ、そこから抜け出そうと足をばたつかせ身をよじらせたけど、両腕ごとガシッと抱え込まれてしまった。