刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第23章 バレンタインデー
約束の時間になり、既にうるさい心臓を落ち着かせながら伊達部屋に向かった。
部屋に着いたところで、部屋の障子がスッと開いた。大倶利伽羅さんが開けてくれたみたいだ。
「お、お邪魔します…」
「…あぁ」
部屋には大倶利伽羅さんしかいない。二人っきり…と思うとわかってはいたはずなのにもの凄く緊張してきた…
奥にある座卓には、光忠が用意してくれたらしい紅茶が置かれている。ドキドキしながらそっと胡坐をかいている大倶利伽羅さんの横に腰をおろした。
「あ、あの…朝配ったクッキーとは別に、大倶利伽羅さんだけに、作ってきました」
そっと箱を大倶利伽羅さんの前に差し出した。
「食べていいのか」
「食べてくれると嬉しい、です。でも夕餉前なので、無理しなくていいですから」
「これくらい食べても支障はない」
大倶利伽羅さんが、箱からガトーショコラを出して、フォークを手に取り一口食べた。ドキドキする。顔しかめられたらどうしよう…
もぐもぐ食べている大倶利伽羅さんについ注目してしまう。
「……うまいな」
「ほ、本当?」
「あぁ、酒が効いててうまい」
「あんまり甘いと苦手かと思って、ブランデー入れました」
「正解だな」
美味しいって言ってくれた!!
すっごく緊張した…本当に良かった!