刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第23章 バレンタインデー
時間を見るともう0時近くになっていた…
シィーーンと静まり返る厨。怖がりの私はビクビクしながら、クッキーとガトーショコラが焼けるのを眺めていた。厨中がお菓子が焼ける甘い匂いで充満してきた頃
カタリ…
「ヒッ!!」
突然開かれた厨の入口の戸の音にビクリとした。振り返って見ると国広くんだった。
「あんたまだ起きてたのか?」
「ビックリしたぁ」
「菓子でも作ってるのか?」
「うん、明日というかもう今日だけど、バレンタインだからね」
「そうか、もうそんな時期か」
国広くんがオーブンを覗き、ガトーショコラを見てこれは誰のだ?と聞いてきた。
あっ!国広くんは大倶利伽羅さんとの事知らないんだ。
「えっと…えっとね…」
「言えない事なのか?それは俺が写しだからか?」
国広くんは私の大事な初期刀。本丸発足当時からずっと私を支えてくれている。
大倶利伽羅さんとの事、ちゃんと伝えなきゃ…そう思い口を開きかけた時
カタリ
また厨の戸が開く音がして、振り返るとそこには大倶利伽羅さん。
スタスタと入ってきて、「まだやってたのか?」と言われた。私がここにいること、光忠にでも聞いたんだろうか。