刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第20章 通じ合う心
彼女が愛しい…、好きだと思った。
顕現された当初は戦が出来ればそれで良かった。
彼女は人間で、俺は刀。
彼女が使う側で、俺は使われる側。
慣れ合いなんて必要ない。
そう思っていたはずだった…
それなのに…
彼女の傍にいると酷く心地が良いと感じるようになったのはいつからだったか。
良くわからない感情だった…
戦にこんな感情は邪魔でしかない、そう思っていた。
だが、時が経つにつれてこの気持ちは大きくなる一方だった。
気付けば彼女を目で追っている己がいた。
その内この感情が恋、というものだということに気付いた。
彼女に触れたい…
彼女が欲しい…
人の身とはいえ所詮は刀。
刀が人間である彼女に恋心を抱くなど…
そんなある日、何振りかの仲間が俺と同じように彼女に恋心を抱いているのを知ってしまった。
彼女を纏う澄んだ霊気…
心地よい声…
優しい眼差し…
温かい笑顔…
どれをとっても惹かれないはずがないんだ。
その時、彼女を他の誰にも奪われたくないと、俺は思ったんだ。