刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第19章 懇親会
「良かったじゃない!」
「えええ!?」
「大倶利伽羅に襲われるかもしれないわねっ」
「は!?」
ギョッとして彼女を見ると、とても嬉しそうな、楽しそうな表情をしている。
「あんまり話してたらあなたの大倶利伽羅が心配するわね。連絡先だけ交換しましょ?」
「あ、はい」
連絡をお互い交換し合ってから彼女と別れトイレから出ると、大倶利伽羅さんが壁に寄りかかって待っている姿が見えた。
その近くに燭台切光忠がいる。あれは…きっと彼女の所の燭台切さんだ。燭台切さんは大倶利伽羅さんに何か話しかけてるみたいだけど、大倶利伽羅さんは特に表情も変わっていない。相変わらずの通常運転だ…
大倶利伽羅さんのところに戻ると、燭台切さんが「君はあのときの!」と声をかけてきた。
「こんばんは」
「久しぶりだね、元気だった?」
「はい」
「今日は伽羅ちゃんと一緒なんだね」
「そうなんです」
「…」
そこへ、さっきの30代の男の審神者さんが来て紙切れを渡された。「良かったら連絡して欲しい。嫌だったら捨ててくれて構わないから」と言うだけ言って足早に去って行ってしまい困惑していると
「気に入られちゃったみたいだね」
爽やかな笑みの燭台切さんに言われて、紙切れを開いてみると確かに名前とメルアドが走り書きされていた。
「行くぞ」
眺めているとちょっと不機嫌そうな大倶利伽羅さんに急かされてしまった。色々と待たせ過ぎたのかも知れない。
大倶利伽羅さんは既に背を向けてスタスタ歩き出している。
「あっ大倶利伽羅さん、待って下さい!燭台切さん今日はお疲れ様でした」
「君もね」
にっこりと微笑んで頑張れと言いながら拳を握っている姿に、ぶわっと顔に熱が集まる。