刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第15章 大切な家族
差し出された箱の中には、アルバムと二人の指輪が入っていた。確かに、父と母が身に付けていた結婚指輪だった。
「…ありがとうございます」
「こちらとしてはあなたの身を守ることが最優先です。結果としてあなたには酷な事をしてしまいましたが、どうかお許し下さい」
「いえ…もういいんです」
今更何を言っても仕方がない。国広くんが、それでいいのか?と心配そうに聞いてきたけど、もう良かった。
「それと…アルバムですが、申し訳ないのですがこちらで確認させて頂いて、あなたの真名が書かれている所は切り取らせていただきました。何卒ご了承下さい」
アルバムを手に取り開くと、懐かしい両親の姿と私の小さい頃の写真がそこにはあった。涙が出た。
前田くんが写真を見て、お優しそうな御両親ですねと言って、一緒に泣いてくれた。
政府の人達が言うように私の名前が書いてあったと思われる場所は、不自然に切り取られている。
『神様に真名を知られてはならない』
『教える事があるならば、それは愛する神様にお嫁入りする時だけだよ』
…審神者になると返事をした時に聞いた、政府の人の言葉が突如頭に響いた。嫁入りなんて…そんなことはずっと夢物語に過ぎないと思っていたから、すっかり忘れていた言葉だった。