刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第15章 大切な家族
目が覚めると、いつの間にか大倶利伽羅さんの腰布に包まれた状態で彼の腕の中にいた。
私の大好きな人が目の前にいた。
「ひどい顔だな…」と彼はフッと笑い、一頭の馬、望月に馬具を素早く装着し、私を抱き寄せた後望月の上に乗せた。
私の後ろに彼が跨がり、片手は私をしっかりと抱き止め、もう片方の手で手綱を持ち望月を走らせる。
「お、大倶利伽羅さん、どこへっ?」
「掴まってろ。舌を噛むなよ!」
必死にしがみついた。
どれくらい走ったか…
辿り着いた場所は辺り一面黄色い花が、綺麗に咲き誇っていた。
「綺麗…」
「前に、遠征に行ったときに見つけた」
「…」
暫くお花を眺めていた。
大倶利伽羅さんは、黙って横にいてくれた。
私は…これからのこと、もうどうでもいいとさえ思ってしまった…それは本丸の事も皆の事もどうでもいいと思ったのと同じ事だ。
「ごめ、…なさい」
「何を謝る?」
「何もかも…どうでもいいって…そう思って、しまったんです…自分のことしか…考えてない…」
「…そんなことはない」
「休みが終わったら、頑張る、から…」
「一人で抱え込むな」
「…」
「皆がいる。…あんたは一人じゃない」
「うん…うん、あり、がとう…」