刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第15章 大切な家族
その頃粟田口部屋では
「いち兄…主君が泣いておられました」
「彼女のご両親が、亡くなったのだから当然なんだよ前田…」
「私たちに力になれることは何もないのでしょうか」
「今は見守ってあげることしか…」
「ぐすっぐすっ…あるじさまが可哀想です」
「そうだね、五虎退…皆同じ気持ちだよ…」
伊達部屋では
普段うるさいくらいの鶴丸もどこか沈んだ様子だった。
「なあ、光坊…人間の命ってのはどうしてこうも儚いんだろうな…」
「そうだね…人間の命は僕たちに比べたら一瞬で…いつ死んでしまうかわからないような、そんな一生だよね…でも、だからこそ尊いし美しいのかも知れない…」
「せめて俺たちが出来ることがあれば…何も出来ないのが悔しいぜ…なあ、みっちゃん!何とかしてあげてくれよっ主が可哀想で見てらんねーよっ」
「貞ちゃん…」
「あいつの霊力が乱れてる…」
「ああ、伽羅坊。こんなの初めてだな。本丸の天候も霊力の乱れに関係しているんだろう。結界は今のところ大丈夫そうだが、何が起こるかわからんからな、警戒態勢を怠らないよう皆に伝えないといけないな」
「天候そのものが主ちゃんの気持ちを表してるみたいだね…」
この本丸の誰もが、彼女の事を気にかけていた。
こんなにも彼女の霊力が乱れ、天候にも左右することは初めてだった。
誰もが心配する中、徐々に天候は変わっていき、4日目は大分落ち着いてきて嵐は雨に変わり、5日目には、どんよりとした曇りに変わっていた。