刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第14章 それぞれの想い
彼は戦う事を性分とし、慣れ合いを嫌う刀だ…
怪我したときは彼が近侍だったから、責任感でお世話してくれていたに過ぎない。
その証拠に、近侍でなくなってからは、私の部屋にも、執務室にも来ることもなくなった。
それ以前に只の人間の小娘が、神様に恋してしまうなんて。身分違いも甚だしいのでは…
そんなことを考えていたら段々とこの気持ちが許されるものではないような気がしてきて…
でも、この気持ちをないものにするには、あまりにも大きく育ちすぎていてどうしようもなくなっていた。
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あいつの怪我が治った。
それに一週間が経って近侍も一期一振に交替した。
俺の心にポッカリ穴が空いたような、そんな気がした。あいつの側にいたときは、あんなにも心が満たされていたのに…
あいつに触れたい…
俺に触れて欲しい…
だが…今はあいつの側に常に一期がいる。
近侍の時のように、軽々しくあいつの部屋に行くわけにはいかない。
なんてことはない、またいつもの日常に戻るだけだ…
今までもそうだったんだ…
俺は己にそう言い聞かせていた。