刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第50章 甘い夜
その不器用な優しさに胸が熱くなって、気づけばまた笑ってしまう。
それからも、あのときのこと、このときのこと――
ふたりで少しずつ綴ってきたたくさんの場面を、ゆっくり丁寧に思い出していった。
話しながら気づく。
こんなにも思い出が増えていたんだ、と。
お猪口の中身がまた少し減って、テーブルの上に置かれた徳利は、さっきよりもずいぶん軽くなっていた。
「…随分、飲んだな」
大倶利伽羅さんがぽつりと呟いた声に、ようやく私は時間の流れを思い出した。
少し騒がしく聞こえた本丸の空気もどこか静まり返っている。
「…もうやめておくか」
「うん…美味しくてついつい沢山飲んじゃった……あとは……伽羅ちゃんとくっついていたい…」
そう言うと、まるで待ちきれなかったみたいに腕を伸ばし私を抱き寄せる。嬉しくて彼の背中に手を回しぎゅっと抱き締め、大好きな彼の温もりに包まれた途端、何故だが急に不安が押し寄せ泣きたくなった。
「伽羅ちゃん…ずっと一緒にいてね…」
「突然どうした」
「…急に怖くなっちゃった」
「…」
「――伽羅ちゃんがいなくなっちゃったら、私…」
生きていけない…そう言いかけた時、ふと、彼の指が私の頬に触れた。