刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第50章 甘い夜
「ありがとう……乾杯、する?」
「あぁ」
「じゃあ……お疲れ様、かな」
「そうだな」
お疲れ様、と言ってかちん、と軽い音が静かな部屋に優しく響いた。ひと口含むと梅の味が喉を滑っていく。その美味しさに思わずふぅ、と息が漏れた。
「おいしい…伽羅ちゃんのもおいしい?」
「ああ…飲んでみるか?」
「飲んでみたい気もするけど、日本酒は絶対無理なのわかってるからやめておく…」
「ふ、いつかもむせていた」
「いつか?……っあ、もしかして大分前の?…覚えててくれたんだ…」
「当たり前だろう」
前に怖い映画を観た後怖くて震え上がっていたら、縁側で一人お酒を嗜んでいる大倶利伽羅さんに会った。あの時差し出されたお猪口に、間接キスになっちゃう、とか考えちゃって一人ドキドキして…凄く懐かしいなぁ。
あの頃はまさか恋仲になるなんて想像もしてなかったけど、それでも大倶利伽羅さんだけには度々ドキドキしてたなぁ。あの頃から知らず知らず意識してしまっていたのかも…
「伽羅ちゃんが選んでくれた梅酒、美味しいよ。飲んでみる?」
コップを差し出すと、大倶利伽羅さんは当たり前のように受け取ってそれを口にする。今も勿論ドキドキするけど、それは少し落ち着いたものに変化している。