刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
持ってきた軍手をはめて、なすのヘタの上をはさみで丁寧に切って籠にそっと入れていると、光忠が「伽羅ちゃんがね…」と切り出してきた。
その名前を聞いただけで心臓が跳ねると同時に、シーちゃんの様子が脳裏に浮かぶ。思わず手元が狂い、手の中にあったなすを落っことしてしまった。
慌てて拾いそっとなすに付いた土を落としていると、光忠が話を続ける。
「伽羅ちゃん…時間があれば鍛錬ばかりしてるみたいなんだ…」
「そ…か…」
「主ちゃん…伽羅ちゃんと、ゆっくり過ごせてないよね?」
パチンと枝にはさみを入れながら光忠が心配そうに問いかける。
確かに…この間少し話をしたはしたけど、ずっと恋人らしい時間は過ごせていない。政府の監査の後やっと大倶利伽羅さんとゆっくり過ごせると思っていた矢先、シーちゃんを本丸に預かることになって……それ以来状況はどんどん悪化の一途を辿っている。
普通の恋人同士のように住んでいる家が違うのであれば会えなくてもそれなりに過ごせるのかもしれないけど、一つ屋根の下に暮らしているのに、今のこの状況は正直かなり辛い。
本当は何もかも放り出して大倶利伽羅さんとずっと一緒にいたい…あんな、人が変わったような彼女のことなんて本丸から追い出してしまえればいいのに…