刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第47章 一人の少女
元々大倶利伽羅さんは愛想がいい方でもないし、進んで誰かの世話をする方でもない。それに誰かと仲良くつるむ性格でもない。
だからこそ尚更シーちゃんが大倶利伽羅さんに歩み寄る姿を見た時、ものすごく嫌な気持ちになってしまった。心の狭い自分。そんな私を知ったら彼は鬱陶しいって愛想を尽きてしまうだろうか…
そんなことを考えながら大倶利伽羅さんをちらりと見ると、パチリと目が合った。
「…ッ」
私の醜い心の奥底を見透かされないように私は慌てて目を逸らした。
「これ…餞別です。…皆で作りました。つまらないものですが…貰ってもらえると嬉しいです」
「え!これ…作ってくれたんですか?凄く…凄く嬉しいです!」
平野くんが、シーちゃんに粟田口皆で書いた寄せ書きを渡すと、彼女は口に手を当てて歓喜の表情をした。そしてぽろりと涙がこぼれ落ちる。そんなシーちゃんを見て五虎ちゃんがもらい泣きをしていた。
感動もひとしお、皆とじっくり挨拶を交わした後は、午後から万屋で開かれている骨董市に行くことになっている。歌仙が行きたいと言い出して、骨董市に行ってみたいとシーちゃんも言うものだから、3人で一緒に行くことになった。
あの襲撃にあってから、シーちゃんは万屋街に行くことが出来なくなっていた。どうしてもあの忌まわしい事件を思い出してしまうから。
そんな彼女が万屋街に出向くことが出来るまでになったのも、ひとえに皆のお陰だ。近々お別れしなければならないシーちゃんの為にも、今日はとことん付き合うつもりだ。