刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第45章 大倶利伽羅の憂鬱
「何より、あんたが俺に隠そうとしているのが気に入らなかった」
「……う、ごめんなさい」
あの時は……俺には関係ないだろう、というようなこいつの素振りが特に気に入らなかった。近侍が俺ではなく山姥切だったなら、こいつは間違いなく頼っていたはずだ。
俺はそれが何より、気に入らなかった。
思えば…あの頃から俺は、あんたに少しずつ惹かれていたんだろう。
こいつのお腹をゆるりとさすりながら、当時に想いを馳せていると、いつの間にか寝息が聞こえてきた。
…
…
次の日。
山姥切を見送るこいつの背中は随分と寂しそうに見える。
だが、不思議と昨晩のような靄がかかるような、そんな感情は湧き上がらなかった。
ただ二人をじっと見つめる俺に、国永がさり気なく背中に手を添え声を掛けてくる。
「言っておくが主はな、伽羅坊が修行中はそりゃあもう寂しがって大変だったんだぜ…聞きたいか?」
「いい、聞かずともわかる」
「お、そうか?」
俺は彼女に近付き言葉をかける。
「心配するなよ。あいつはあんたのところに帰ってくるだろうしさ…」
自身でも驚く程にすんなり出た言葉。
こいつも少し驚いた様子だったがすぐに頷き、花が開くように笑った。
大倶利伽羅side、終