刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第42章 神酒 ―番外編―
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「朝餉を持ってくるから待っていろ」
風呂から上がった後着替えを済ませ、彼女に声をかけた後厨に向かう。
「伽羅坊っいいところに!!助けてくれっ」
突然の切羽詰まった声。
庭の方に視線を向けるも、国永の気配はするが姿が見えない。何度か辺りを見回すと「ここだ、ここ」と頭上から声がした。
見上げるとそこには布団にくるまったまま逆さに木に吊されている国永の姿。吊したのは、恐らく長谷部だろう。
…にしても、今回はやけに高いところに吊されたもんだ。少し気の毒だと思ったが、昨晩にやつきながら俺に酒を注いだ国永の顔が脳裏に浮かぶ。
「ち、自業自得だ」
「昨晩の事で怒っているのか?謝るから早く降ろしてくれっ頭に血が上る」
「タンチョウらしくなっていいんじゃないか」
「そりゃないぜ!伽羅坊もいい思いをしただろう!?昨晩と違って顔がすっきりしているぞ!」
「…いい思いか…まあ、そうだな…」
「だろう!?なら、「だが、少しは反省しろ」」
それだけ言い俺は厨にまた歩みを進めた。
朝餉を食べたら…あいつと一日中ゆっくりしていようか。
たまにはそういう日があっても悪くない…
大倶利伽羅side、終