刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第42章 神酒 ―番外編―
まだ恥ずかしそうに身を縮めている彼女の上に被さっている布団をひっぺがし抱き上げると、可愛くない悲鳴が聞こえ笑いが込み上げる。
「ひぃっ!!…え、え、ちょっと!い、一緒に入るの!?」
「当然だ」
問答無用で風呂場へと連れて行き、浴室の椅子に座らせると、目の前の鏡に映る自身の姿にこいつはまた悲鳴をあげた。
「っ!いいいいっ!!」
予想通りのリアクションに思わず肩が震える。
鏡越しにすっかり俺に染まったこいつの金色の瞳と目が合うと、またしても奇声を発し両手で顔を覆った。
指の隙間から見える肌は赤く染まっている。
「お湯をかけるぞ…」
自然に出た微かな笑い声を誤魔化すように、シャワーの蛇口を捻る。
労るようにお湯を肩からかけている間、そろそろと両手を顔から離した彼女は、一体何を考えているのか鏡を見ながら青ざめたり、にやけたり、また赤くなったりと表情を忙しく変えていた。
「百面相だな…」
「ッ!!………だって…」
「なんだ」
「なんか…この姿になると…大倶利伽羅の女って実感がする…」
「はぁ……実感も何も、あんたは俺の女だろう」
何を今更…と少し呆れながらスポンジを泡立て、今度は彼女の背中を撫でるように滑らせた。