刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第41章 神酒
「それで…返事は?」
「っ!…んぐ、……わ、わかりました!わかりましたから離し、ゴホゴホ」
大倶利伽羅さんに首根っこを掴まれていたこんのすけは漸く解放されたのだった。
「じゃあこんのすけくん、後は宜しくね。それ全部食べていいからね?」
これ以上ないくらいに爽やかかつ、眩しいけどどこか妖しく笑う光忠から目が離せず呆然とする私の手を、大倶利伽羅さんは引っ張り執務室という牢獄から連れ出した。
立場上政府と私達に挟まれているこんのすけが少し気の毒になったけど、かと言ってあの尋問を受けるのは二度とゴメンだ。
手を引かれながら、もう二度と政府から届いたものなんて口にしない、とそう心に決めたのだった。
…
…
後に正式に販売されることになったこのお酒、注意書きには勿論それぞれ用途をしっかり守るように記されている。
これほどまでに注意しろと書いてあるのは、ある本丸の審神者が過激な報告をしたからなんだって、と大倶利伽羅さんと万屋に訪れている時に他の審神者と刀剣が話をしているのを偶然耳にした私は、恥ずかしさの余り頭が沸騰し倒れそうになった。
「別にあんたのこととはばれていない」と大倶利伽羅さんに慰められながら本丸に帰り、更に事情の知らない兼さんがこのお酒を得意げに私に見せて「これで誉は思いのままだな!」と満面の笑顔で言ってきた時、大倶利伽羅さんと二人で固まってしまったのは言うまでもなかった…。