ボーダー最強が暗殺教室に通うことになったみたいで。
第5章 椚ヶ丘中学三年E組 通称ー暗殺教室ーでの任務開始
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少年…いや少女は突然やってきた。
黒パーカーのフードを目深くかぶり、男子用のスラックスを身に着けている。
首にはチョーカーを、肩にはチョーカーと同色の黒いヘッドフォンをかけたその姿は、「根暗そうな少年」にしか見えない。
実際、彼女のことを少年ではなく少女だ、と分かったものはいなかった。
その少女はどこからともなく現れ、担任である超生物の触手を一息にほぼ全てを傷つけた。
誰も出来なかったその行為に対して、「尊敬」と「疑問」の眼差しが注がれた。
問題は、そこからだった。
転校生がするべき…自己紹介をすることを拒否。
しぶしぶしたと思ったら、少年とも少女ともいえる…いわゆる「両声類」である彼女の凛とした、しかし明らかな嫌悪が含んだ声でこう告げられる。
「一切慣れ合う気はない」と。
その後、その言葉を本気にさせるためかのように席に着き、眠ってしまった。
起きたと思ったらすぐ早退した彼女の第一印象はもちろん「感じ悪い」に決まっていた。
翌日。遅刻寸前で教室に入ってきた彼女は、足元がふらついていた。
しかし、それに気づいたものは誰一人いなかった。すぐ視線をそらしたから。
しばらく席に座り、ぼーっとしていた彼女を見て、勉強に焦っているものはいらだちさえも感じたと思うが、実は二時間しか寝ていないことは彼らは知らない。
そして、彼女の隣の赤髪君が教室に入ってきた時。彼女は豹変した。
いきなり怒鳴りだした彼女に、皆驚きを隠せなかった。
「慣れ合う気はない」とか言っときながらフルボッコにさせろ、と言ってきたから。
その理由はよくわからなかった。
しかし、思いは一つ。
彼らの一人がその気持ちを、考えを代弁するかのようにつぶやいた。
「それって八つ当たりじゃ…」と。
それは、図星だった。
彼女は怒り狂い、次の時間が体育なのもいいことに赤髪君にタイマンを(無理やり)仕掛けた。
クラス中が少しづつ怒りをためる中、超生物はにやにやと、副担任である防衛省の幹部は何やら納得した顔をしていたとか…。