第4章 甘い甘い金平糖
一方、秀吉が報告のため信長の元へ向かっていた。
一向に犯人は見つからない。信長様になんと報告をしたら良いものか……不甲斐なさを感じながら廊下を歩く。すると、使われていない部屋から「ぃやぁっ、だめ!」と声が聞こえたのを、賊が悪さをしているのかもしれないと考えた秀吉は、何奴!と刀に手をかけ襖を勢いよく開いた。
「政宗……信長様……そ、そんな」
政宗の足を割り、口づけを落としていた信長は、邪魔をされたことにイラついたように顔を上げ、何用かと短く問うた。
口をパクパク開けている秀吉の肩をトントンと叩くものがあり、放心状態で目を向けると、そこには政宗がいてしかもニッと笑われては心の臓が引きちぎれんばかりに驚いて跳ねるように後ろへ飛びのいた。
「どうなっている!政宗が二人!!」
すると、ぽんッと音がして辺りが煙に包まれた。
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騒ぎが静まり安心した信長は茶を振る舞い、はははと笑う政宗、ため息つく家康、目を輝かせ家康を見つめる三成、光秀と飴の作り方を談義する晴美、秀吉はその中心でホッとした表情で。
ほろ苦いお抹茶に和菓子を皆で囲み、今日のひと騒動を安土の空高くへ笑い飛ばしたのだった。
おしまい。