第4章 甘い甘い金平糖
早朝の安土城。
突然の召集。
天守に武将が集められる。
迎える信長の顔には、隠しようのない苛立ちが見てとれ、側に控える秀吉も眉間に皺を寄せ厳しい顔で座っていた。集められた武将らは緊張した面持ちで、信長がの口が開かれるのを待った。
静まりかえった中、信長が不機嫌な顔で苦々しげに声で言う。
「賊が入った」
皆一同に驚きの顔を見せる。秀吉だけは厳しい顔のまま口を一文字に閉じている。
「まさか、この城に」
「おもしれー奴が現れかたか」
「見回りの体制を立て直さなくては・・・」
「で、何が盗まれたんですか」
皆の声を聞き、信長が大きなため息をつく。
「金米糖だ」
「「はぁーーー!!」」
「ほう」
「なるほど」
武将達の呆れたような納得したような声をよそに、信長は話続ける。
「秀吉に見つからぬよう、分けて隠していたものもすべてない」
「なっ!信長様!天守だけでなく、他の場所にまで隠されていたんですか!食べ過ぎはよくないとあれほど・・・」
うるさそうに秀吉から顔をそらし、またため息をつく。
「猿の仕業かと思い、呼び出してみたがそうではない。他に思いあたる者もおらんし、なくなっているものもない。これは賊が入ったとしか思えん」
家康はため息をつき、三成は思案するような顔をし、光秀は表情の読めない顔をする。
「まあ、暇潰しにはなるか」
政宗がそう呟くと、秀吉が咳払いする。それを見て信長が立ち上がる。
「よいか、これより最優先事案として命じる。賊を探しだし必ず金米糖を取り戻せ。必ずだ!」
こうして、安土城の一日は幕を開けた。