第2章 朝霧―episode zero―
「御影システムの明智だ。休みを取ってすまない」
明智さんは名刺を取り出し、さらさらと何か書いている。
「特別だ、わからないことがあったらここに電話を」
差し出された名刺を受け取って、書かれている番号を押し、電話を耳に当てる。
ブブブ、ブブブ、彼の電話が震える音がして。
「もしもし」
「明智さん、ありがとうございます、お言葉に甘えて電話しました」
すると彼は電話をひざに置き、
「直接話しても、問題ないだろう?」
呆れたように鼻を鳴らす。
「……ですよね」
ぶっと噴出す私を、やっぱり呆れたように。だけど一瞬ふっと笑ってくれる、明智さんだった。
おしまい。