第7章 スキンシップと、年下と指先と
——point of view うちはサスケ
震える手で、ゆっくりと。本当にゆっくりと彼女が俺の頬に触れる。
俺はギュッと自分の手を自分の手で握って、思い切り力を入れる。痛いくらいに。
そうでもしないと、頭が沸騰してどうにかなってしまいそうだった。
きつく瞑っていた目を薄く開けると、当然 目の前にはエリの顔がある。
俺の目の横から、顎先に向かって。ゆっくりと輪郭を撫でていく、異様に冷えた彼女の指先。
おそらくは極度の緊張のせいなのだろう。
しかし、それに負けないくらい俺も緊張している事を認めざるを得ない。
あぁ、俺からは絶対に触れないなどと。ロクでもない約束なんてするんじゃなかった。
たった数分前の事なのに。俺の胸は後悔でいっぱいだ。
女なんて、ウザい。
何を思い上がってか、図々しくて許可もなくベタベタ触れてきて。
嫌悪感しかなかった。が、
エリは全く別の生き物に見えた。
愛しい。この壊れそうな目の前の生き物が…
ただただ愛しい。
この今にも俺から離れてしまいそうな 切なくて儚い手を握ったら、やはり怖がらせてしまうだろうか…。
もう、怒られても嫌がられてもいいから。
今すぐに、この冷え切った手に
俺の無駄に高い体温を移してしまいたい。
そんな自分勝手な感情をなんとか胸に押し込めて。小さく息を吐く。
あぁ、なんだこの気持ちは…こんなのは知らない。
痛い苦しい気持ち良い辛い悲しい楽しい。
なんだこの想いは。
お前は一体俺に何をしたというんだ。
この正体が一体何なのかを、アンタが俺に 教えてくれよ。