第6章 これからの事と、大人と子供と
——point of view はたけカカシ
泣きじゃくって 話し疲れたであろうエリに、少しでも落ち着いてもらおうと
入浴を勧めた俺だったが。
恥ずかしながら、気持ちを落ち着けて整理しないといけないのは俺自身だった。
家に彼女とサスケを置いて、俺は家から少し離れた、いつもの演習場に来ていた。
ここは周りが木で覆われており、民家もなく。閑散としている。
俺は大きく息を吸い、右拳に力を集中させた。
そして目の前にある巨木の幹に、その拳を力いっぱい打ち付けた。
幹は無残にも大きくえぐれ、木は自身を支えられなくなり。バキバキと音を立ててゆっくりと後ろ側に倒れていった。
…こんな事をしてみても、少しも気分は晴れなかった。
相変わらず腹わたは煮えくり返り、激しい怒りは波のように全身に広がったまま。
やり場のない不満は体の中を駆け巡っていた。
エリの話を聞いてから、ずっと抑えていた感情が爆発した。
理不尽だ。どうして彼女がそんな目に合わなければならなかった。
理不尽だ。どうして俺と彼女は違う世界に産まれた。
その時俺が、近くにいたなら。
絶対に俺が守ったのに。何に変えても。
今からでも、間に合うだろうか。
いや、絶対に間に合わせる。
彼女の人生を、俺が幸福な物にしてみせる。