第30章 愛の形と、苦悩と略奪と
「やっと…着いた。なんか、思ってた倍疲れた」
私を地面に下ろしてからシカマルは腰を折った。とてつもない長距離を、私を背負いながら走ったのだ。疲れて当然だろう。
『ありがとうシカマル君。とても助かったよ。
ごめんね、しんどかったよね』
「…いや、それよりこれからどうする?
とりあえず四代目の所には、顔出さないわけにはいかないだろうけどな」めんどくせーけど
『あ、そうだね、でも私先に…』
どうしても、サスケの顔を見たかった。
カカシやミナトから無事だと聞かされてはいたのだが。やはり少しでも早く会いたい。
「エリ!」
そう思った瞬間、本人の声が聞こえた。
『サスケ君!』
私達は、どんどんと距離を詰めて行く。
もう少しで、その距離がゼロになるくらいで私が腕を伸ばすと。サスケがその腕を強く引いた。
「よかった…無事で」
私の頭に、彼の頬が優しく触れる。
『サスケ君こそ…よかった、生きていてくれて。怪我はもういいの?』
「もうなんともない」
よほど心配してくれていたのだろう。サスケは私を抱き締めたまま離れようとしない。体全身で、無事を確かめているようだった。
「おーい、感動の再会は結構だけどよ…
あんま強くするなよ?怪我に響く」
シカマルの声で、私を勢いよく自分の体から引き剥がした。
「怪我をしたのか!?」
『いや、でも別に大した事ないよ?』
「嘘付け。結構な重症だったろ」
もう!と私はシカマルを睨み付けた。わざわざサスケを心配させるような言葉を並べるから。
「…アイツにやられたのか」
『違うの…』
サスケが言うアイツ、は。セツナの事だろう。しかし、私を刺したのはアゲハだ。
アゲハが私を傷付けた後に逃走した。正直にそう話せば、またサスケは烈火の如く怒り狂うのだろう。
「話してるところ悪いけどな。無事に到着した事、火影に報告しなきゃならねーんだわ。
詳しい話はまた後でな」
シカマルはサスケに向かって言う。
「俺も行く」ギラ
「お前、本当にキャラ変わったなぁ…」