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モノクローム【NARUTO】

第28章 真実と兄弟と、増悪と愛情と




———五年前 回想


「これは、名を贄牢閣の術。聞いた事くらいはあるか?」

古い文献に、ギリギリ載っているかどうかというレアな術に。まさかこんなところでお目にかかってしまおうとは。

シュンとカカシ、そして俺の三人は同時に敵に切りかかる。

考えは同じだったようだ。
この術にかかってしまった以上、術者が領域外へ脱出する前に殺して解術してしまうのが最善。

もしそれが叶わなければ…
俺の頭に嫌な考えが浮かぶ。

なんとしても、三人が二人に減る事だけは避けなければならない。

俺達は必死に、洞窟の出口に走る敵との距離を詰めていく。

俺に速さで敵うわけもなく、敵の忍との距離はどんどん詰まる。しかし

「術者の俺が、そう簡単に殺されるわけにはいかないからな!逃げ道くらい…用意してる!」

「っチ!」

急に方向転換した敵は、あらかじめ用意していたのであろう天井の抜け穴から姿を消してしまったのだった。

追いかけるカカシ。しかし、結界の壁に阻まれてしまう。

「…先生、すみません」

「いや、あれは仕方ないよ。俺も出口の方に意識をやりすぎていた…」


「二人とも…この術の事、どこまで知ってる?」

シュンの、烈火の如く赤い瞳が。不安に揺れた。

「一通りは、文献で読んだ」

「俺もです。ま、古い文献だったから、そこまで詳しく書いてなかったけど…
だからこそ、なにか突破口もあるでしょ」

珍しく前向きな言葉遣いを努めるカカシ。俺達は、誰も最悪のケースを口にしなかった。

各々、結界の領域内を把握したり。はたまた脱出が出来る穴がないか、など。
焦る気持ちを落ち着ける為に、とにかく手を尽くして調べた。

当然、そんな物はなかった。

数時間後に集まった俺達は、情報整理をした。


「思っていたよりも広いね。文献では、もう少し小規模な範囲だとあったけど」

「術者の力量や適性に依存するのかも知れませんね」

「……」

今から思えば。シュンは、その時からもう考えていたのかもしれない。

一人で、死を決意していたのかもしれない。

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