第25章 切迫と報復と、開戦と危機と
——中崎エリの手記より抜粋
彼等とこの新しい世界で時間を共にするようになって。早いもので秋、冬、春と季節は移ろう。
自惚れるわけではないが、この数ヶ月間二人を一番近くで見てきたのは私ではないだろうか。
その結果、彼等の事について随分と詳しくなったと思う。
改めて、彼らについて記述しておきたいと思う。
うちはサスケ。
美青年。とりあえずこの一言に尽きる。
あと、本人はクールキャラだと思っているが実はあまりそうではない。
機嫌の良い時は意外と話すし、笑顔をこちらに向けてくれる事も決して少なくない。
そして、私の接触恐怖症を治してくれた恩人である事は特筆しておかねばなるまい。
彼の私へと向ける想いは、ハッキリと口にして伝えられたわけではないので、ここに記す事はしない。
はたけカカシ。
エロ小説好きの、私より年上の兄的存在?
普段はマスクで素顔を覆っているが、隠している事が勿体ない程のイケメンさん。
無造作な髪型に、眠たそうな目、おっとりとした喋り口調。しかし実際は里きっての凄腕の忍なのだから、それを知った時は大いに驚いた。
意外にも寂しがり屋なのか、スキンシップが多いように思う。
しかし、それは誰彼構わずに当てはまるわけではなく。私にのみ適用されている気がするのは、単なる自惚れだろうか。
そんな二人の様子が、最近おかしいように思う。
理由は容易に想像できる。
仕事が上手くいっていないのだろう。
しかし彼等は、その事を懸命に隠している
…つもりなのだろう。
それくらいなら簡単に見抜けてしまうくらいには、私は彼等を見てきたつもりでいる。
忍の守秘義務については理解しているつもりだ。
それがあるから二人は私に何も話さない。話せない。
仕方ない。仕方ないけれど…。
自分にも何か協力出来る事があるのでは?と
最近の私はそればかり考えている。