第24章 エメラルドと瞬と、酒乱と酒乱と
運悪く長髪であった俺まで、この女装ごっこに付き合う羽目になってしまった。
しかし、イルカ先生の言う通り…
『……』にこにこ
エリのこの笑顔が見られるなら、まぁ悪い役回りではないのかもと。
唇に紅を引かれながらも、思ってしまった。
バァン!!
と、突然 ドアが壊れんばかりの勢いで開かれた。
外からカカシとサスケの二人がなだれ込んで来たのは、そんな時だった。
長い遠征から疲れ果てて帰ってきたら、自宅に女装している大の男が二人も居る。
そんな状況に置かれた二人に同情した。
「「……」」
同時に、こんな なりをしている俺を 同期と先生に目撃された自分にも同情した。これは素直に死にたくなる。
「「……」」
一体目撃した方と、された方。どちらの方がより不幸なのか。そんなどうでも良い事を考えてしまっている。
そして全員あまりの衝撃で、全く動けず 声も出せずに固まっていた。
『…っ、』
一番最初に、動いたのも沈黙を破ったのも、エリだった。
彼女は俺とイルカ先生の目の前から、カカシ先生とサスケの元へ駆け出した。
そして思い切り腕を広げて、二人の間にダイブして、呟く。
『っ、おかえり、なさい///』
「…あぁ、」
「うん。ただいま」
しっかりとエリを受け止めた二人は、噛みしめるように、そう答えるのだった。