第23章 破術と秘密と、風邪と言の葉と
——point of view 奈良シカマル
今から、くだらない例え話をする。
ここに二つの林檎があると仮定する。
一つは、無農薬で糖度が高く。見た目も綺麗で美味しさが確約されている、特別な林檎だ。
もう一つは、なんの変哲もない普通の林檎。
当然の事ながら、前者の林檎はみんなが狙っているわけで。
従って、競争率が高く。手に入れる為には大変な努力が必要だと、簡単に予想出来るわけだ。
普通の林檎なら、そのへんにいくらでも転がってる。
さぁ、どちらかの林檎を欲するならば…
どちらだ?
俺なら断然、後者の林檎を選ぶ。
手に入るかも分からない物を手に入れる為に、足掻いて傷付いて苦心するとか…
ぜーって嫌だから。まじで無理。めんどくさいの極み。
みんなが一つの林檎取り合って、四苦八苦して奮闘してやがる。
カカシも。サスケも。イルカもミナトも。
俺は普通の林檎を齧りながら、その様子を見物してやる。
それが俺だ。
でもまぁ…世の中には、色々な考え方をする人間がいるわけで。
そんな自分とは違った思考を持つ奴の話を聞いてみるのも、また一興だと思い至る。
俺の中で、一つの興味が湧き上がる。
もしアイツなら…。
エリは、どういう考え方をするんだろうか。
今度、暇つぶしがてらに…意見を聞いてみようか。
例え、どれだけカンの良い奴だろうと。
自分自身が林檎に例えられているだなんて、気付ける術なんて無いだろーからな…